デザインコンペを考える

検索ログを見てみると…

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弊社のサイトログを見てみると“コンペ 勝つ”とか“コンペフィー”という検索語句が上位を占めています。デザインコンペというものが如何にあやふやで良く解らない仕組みなものかを顕している現象だなと思っていますが、検索結果に満足されましたか?

私はエリエールのティッシュボックスのデザインを最後にコンペには参加していません。理由は後ほど申し上げますが、その時の顛末をお話しておきましょう。

ある日、大王製紙から直接電話(メールでは無いところが時代ですね)が掛かってきました。コンペへのお誘いです。
その時は「こんな田舎のデザイン事務所にまた酔狂な…」と思ったのですが、私も未だ若かったですし、これと言ったビッグネームの仕事もしていませんでしたので“腕試し”的にお受けしました。

なにしろティッシュシェアNo.1、電博大凸を始め日本中の名のあるデザイナーが参加します。その数30社、そこに自分が居るという事だけで心躍ったのを覚えています。
コンペフィーは¥. 300,000、 5案ほど提出したでしょうか。数度手直し依頼があり2ヶ月ほど経って「上位3社に残った」との報あり。まあ、ここまでで十分の気持ちはあったのですが指示されるがままにパターン替え等ブラッシュアップを重ねる事10ヶ月。非常にタイトなスケジュールで、もう勘弁して!と思っていた矢先「貴社の案に決定しました」と。

5箱の色替えパターン制作、フィニッシュデータ制作、印刷校正…そして完全校了となったのは初めて電話を貰った日から一年経っていました。
報酬は一式¥. 3,500,000 で一年拘束(苦笑)。まだバブルの余韻が残る面白い時期ではありました。

ギャランティーが全てではありません。全国のスーパーに自分のデザインしたパッケージが並び、山口智子さんがCMやポスターで、また主要都市の巨大な電飾看板にとその後の展開は想像を超えたものでした。おかげで弊社のネームバリューも上がり、設立間もないデザイン事務所に素晴らしいチャンスを与えてくださった仕事として今も感謝しています。

そして現在、何ゆえコンペに参加しないのか。

体力的にもうその時期は過ぎたかなと思うのです。苦行は若い人達にお譲りしたい。

デザインコンペ、若くてチャレンジングなデザイナー諸君にはお薦めです。勉強の場と割り切って受けてみてはいかがでしょう。
タイトな納期、見えない審査基準、理不尽な要求に耐えながらも何とか落としどころを探らなければならない経験は、若くてパワーにある時期に一度は通っておくべき道だと思います。負ければ当然ヘコミます。そこからのリカバリー術も会得しておくべきです。
なぜ勝ったのか、負けたのか、その訳を探る事でコンペの闇やオトナの事情を知る事になります。

出来レースも当然あります。こりゃどう見ても当て馬だなと思うコンペにも参加せざるを得ない“おつき合い”もあるでしょう。
それに対する処し方全てが社会勉強であり、将来コンペで無く“指名”されるようになりたいが故の経験として容認出来るのなら佳し。

「コンペに勝つためにはエンドユーザーのためを思ってもダメ、まずはクライアントに受けなきゃ」という本末転倒な事実、そこに空しさを感じたのであれば自分の進むべき道が見えてきます。

要するにクリエーターとしての“生き様”探しの試練であるように感じます。

デザインコンペ…参加費に対する成功報酬(金銭以外に得られるであろう名声も含めて)が大きければ納得も出来るのですが、この頃のコンペ事情はどうでしょう。
参加フィーは無いわ成功報酬は少ないわ、おまけにネームバリューも得られないと来ればモチベーションも上がりません。そんな状態なので集まる案も低レベル。発注側も旨味が無いはずです。

ギャラを削る事に終止するので無く、“手弁当でもやってみたい”と思わせる仕事を創りだすのが発注者のテクニックだと思うのですが…

そんな粋な企業のワクワク感のあるコンペならまた参加しても良いかな。