日本、岡山、哲多のワイン

■ 始まりはロゴマーク

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大体いつもこのような緩い始まり方をします。後に行政をも動かす大きなプロジェクトになろうとはその時誰も予測していませんでした。

今、ブームになりつつある“日本ワイン”、岡山県北の小さな町でもその小さな小さな芽吹きがありました。

日本がかつて景気の良かった頃、岡山県新見市哲多町に国の補助事業でぶどう畑を作りました。ここの気候風土、とりわけ土壌の良さはTETTAのウェブサイトhttp://www.tetta.jp/budouen.html に詳しく書かれているので此処では触れませんが、ぶどうの品質は最高。

しかし、第三セクターの常として経営は行き詰まっていました。商売に疎いお役人様のやる事ですから勿体ないお金の使い方をします。でも出来上がったぶどうの圃場は素晴らしく、このまま朽ち果てさせるのはあまりに忍びない…
そこで立ち上がったのが一人の若き青年、高橋氏でした。

ややこしく絡み合った利権を整理し、ある時は都内高級ホテルのスイートルームに呼び出され、単身その筋の方々と渡り合ったとか。

そんな彼から「新しい会社を作ったんだがロゴマークを考えて欲しい」とのオファーを頂きました。色々話を聞くうち肝の据わった彼の人柄に惚れ、とりあえず現地に行ってみることに。

「哲多の自然と共に生きる」というコンセプトのもと、TETTAというアルファベットに草木が絡み付いたロゴマークが出来上がりました。
5年後、草木が育ったバージョンに、という具合に更新を重ねていくつもりです。50年後にはTETTAの文字は覆い尽くされているかも知れません。

草木に飲み込まれモノが無くなったとき初めて自然と融合出来る…日本人の生死観にも繋がる経年変化していくロゴタイプ、自分的にはお気に入りです。

 

■ ありがたや、私設サポーターの皆さま

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ロゴの次はワインラベルです。

国産ワインだからという理由で筆文字を使った安直なデザインの多さに辟易していましたので、ここは日本から世界に向けて発信出来るようなものにしようと。(前回のレポートを参照してください)

ロゴマーク、パッケージデザインは出来上がりました。
でも建築に例えるとノミ、鉋という道具が揃ったという程度。肝心なのはそれらを使ってどのような家を造るか、です。

思い違いをしている方(デザイナーにも)が多いのですが、ロゴやパッケージ、リーフレット、ウェブサイトを作る事がデザインだと思っている。
いや違うと。
それら“道具”を使ってどのように結果、すなわち“売上増”に導くか、に手腕が問われるのです。

それを考えると我々デザイナーの為すべき仕事はかなりな量に昇ります。椅子に座ってMacを弄っているだけでは無いのですよ。

道具としてのデザインアイテムが揃ったところで、まず認知アップに向けての方策を練ります。

春には“新植祭”、秋には“星空とワインを楽しむ会”…色んなイベントを開催しました。

地道な活動の甲斐有って多くの方々にサポーター(クラブテッタ会員 http://www.tetta.jp/club.html)になって頂きました。

創業したばかりの会社です。売り上げも立たず資本も乏しい中、使えるのは自らの知恵と労力のみ。私と高橋氏それぞれが持てるコネをフル活用してマスコミに露出、パブ記事の依頼、キーマンへ試飲依頼、ブロガークチコミの活用等々無料で使えるプロモーション攻勢を掛け、それが功を奏したのか次第に出荷本数も増加。

ある時、打合せが終わった後の二次会で入ったお店に俳優の辰巳琢郎氏[日本ソムリエ協会のソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)]が! 偶然とは言えこの強運。TETTAワインを絶賛してくださり、これまた協力なサポーターを得ました。

バズマーケティングを実践しています。

 

■ 日本ワインというムーブメント

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TETTAに関わるようになった成り行き上ワインについてもっと知らなくてはいけない、という訳で日本各地のワイナリー巡りをしています。現場主義を貫きたい私としましては仕事半分興味半分のお気楽旅。

“日本ワイン”という概念の立役者、新潟のカーブドッチhttp://www.docci.com/

画家でエッセイスト、玉村豊男さんがオーナーの長野・ヴィラデストワイナリー
http://www.villadest.com/

ご近所、島根の奥出雲ワイナリー
http://www.okuizumo.com/ 等々。

ワインの味わいは土地との関係性が素直に現れます。そして醸造家、栽培家、オーナーの人柄…これも如実に出てきますので恐ろしい。

還ってTETTAを見てみますと、まず土が素晴らしい。
石灰岩混じりの赤土、これはフランスの銘醸地ブルゴーニュの土地組成と同じで底知れぬポテンシャルを感じます。

そして栽培家の大福氏 http://www.tetta.jp/budouen.html#aizyou
実直な人柄がぶどうの味に出ています。
オーナーの高橋氏の熱さと行動力にはいつも感服。
これで良いワインが出来ない訳が無いとの想いを強くしました。

私も微小ながら経営者の端くれです。モノになるか否かを嗅ぎ分ける感覚も養ってきたつもりです。
近い将来、哲多が日本ワイン醸造地として名を馳せる事は間違い無いでしょう。

未だご存じない方はこちらをご覧ください。そして飲んでみてください。 http://www.tetta.jp/winelist.html

※2011年秋に開催された「国産ワインコンクール」においてTETTA Vigne 2008マスカットベリーAが奨励賞、2010マスカットベリーAが銅賞に輝きました。

 

■ 能書きが通用しない商売の現場から

ワインの話から逸れますが、ここ数年“結果を出す”という事に注力しています。

デザインが、ブランディングが大切だという大号令のもとで開催されるセミナー、多くは概論だけで終わってしまいます。なぜ同じ過ちを繰り返すのでしょうか。

抱えている悩みは十社十色なのに講師の先生方は自分の方程式に当てはめた総論しか言えない。そして誰もが関心あるであろう“お金のハナシ”をしない、出来ない。

サッカーで言えばゴール前までは何とか繋いで来るがシュートで終わらない(打てないと言ったほうが適切か)。

私は常にストライカーでいたいと思っています。確実にゴールマウスを割るためには素敵なラストパスが欲しい。ならば人選も任せてよ、という事で“仕事の出来る”人達のドリームチームを結成しました。社是は「100の理論より1つの実績」。

クライアントは資金を我々に預託してくださる。その期待に応える為にも絶対に結果を出さなくてはならないのです。デザインという行為が“訳が判らないもの”にされないためにも。

はっきり言いましょう。デザインは経済活動の一環です。結果を出してナンボです。

代理店経由の仕事をしているとその辺りの仕組みを忘れがちになります。デザインの原点を見直すためにも厳しい環境に身を置く事も時として必要でしょう。

お給料は社長が出すものでは無くクライアントから頂いているお金なんです。

 

■ TETTAプロジェクトのまとめと2012年の抱負

TETTAという出来立ての民間企業が始めた商売の芽はすくすくと育ち素晴らしい実を結びつつあります。今後、地域活性化のリーダー的役割も担う事になるでしょう。
後を追う人々のためにも取りあえず成功例をひとつ作り出す事。大げさな企画書なんて要りません。数字が雄弁に語ってくれます。

既に若い夫婦が新見に移住してきました。哲多の土地に惚れ込みここでワイナリーを持ちたいと。

ヤギを飼っている夫婦はヤギ乳を使ったスイーツを作り始めました。チーズ作りにも挑戦しています
http://kirarifarm.com/

とびっきり美味しいトマトを作っている農家の方もいます。

多くの志が近い将来、線で結ばれるでしょう。小さな点ですが確実に動き出しました。

私が何故この地に手弁当で通うのか。
それは各々の気持ちの強さに惚れ込んだからです。覚悟が出来た人とのやり取りは心地良いものがあります。ある種、仕事を超えたカタルシス… 岡山輩出の偉大なデザイナー、水戸岡さんから言われた“花仕事をやりなさい”とはこの事だったのかと得心。

私が好きな言葉に「神は細部に宿る」というものがあります。
大きい地図は描けませんが身の回り半径3mの事柄をキチンとやる事が始まりだと考えています。それが出来ない人に地域を語る資格は無い。

という訳で今年は数少ない仲間を幸せにする事から始めたいと思います。